連続テレビ小説「ちりとてちん」もあと2週と少しになり、さみしいですね。
もう今回が最後ではないでしょうか?喜代美役・貫地谷しほりと草々役・青木崇高のインタビュー..常打ち小屋への思いと最終週を前にした現在の心境..........byNHKステラ3/21号より抜粋
↑画像は表紙を飾った主役のふたり........
「改めてみんなの優しさを感じました」喜代美役・貫地谷しほり
喜代美と同じ気持
私はこのドラマにかかわるまで、上方落語を生で聴いたことはなかったし、常打ち小屋というものも知りませんでした。今、大阪には「天満天神繁盛亭」という常打ち小屋がありますが、私はそれができてからの落語界しか知らないので、なかった時代の落語家さんたちの苦労や、何んとしても常打ち小屋が必要だという気持ちを、実感として持つことができなかったんです。だから喜代美の言う「師匠が必死で造ろうとしていたし、兄さんらの話を聞いていて、あったらいいことあるんだろうなとは思うけど、本当のところよくわからない」というのが、そのまま私の気持でしたね(笑)
みんなの心
そんな私でも、繁盛亭に行った、驚いたことがあって。小屋の中に、すごい数のちょうちんがかかっていて、そこにずらっと名前が書いてあるんです。それは、建設するときに寄付してくれた人たちの名前なんですって。ここはみんなの心で建っているんだ、それってすごいことだな、と思いました。
ドラマの中でも、自分たちで常打ち小屋を建てようと決めた喜代美に、小浜の家族やエーコの家族、寝床のみんなが協力してくれる場面があるんです。改めてみんなの優しさを感じましたし、喜代美がこれまで人を大切にして生きてきたことの証しのように思えて、涙がこぼれました。これまで培ってきた人間関係や落語への情熱が、こんな形で喜代美の人生に表れたんだなあって。それまでの積み重ねがあってこその結果なんですよね。それは今回”ちりとてちん”で強く感じていることの一つです。
人は急に変わらない
もう一つ感じているのが、人が成長するって本当に大変だな、ということですね。たとえば喜代美は、小浜を飛び出したり、師匠の死を経験したり、いくら劇的な出来事があっても、すぐにはかわらなかったじゃないですか。ふつうドラマだと、人が変わったみたいにヒロインがしっかりしますけど(笑)、喜代美はそうじゃない。それってすごくリアルですよね。だって昨日までグダグダだったのに、次の日からいきなりシャキッとできるわけがないじゃないですか。私ならムリです(笑)もう物語はあと2週を残すのみですが、高校生だった喜代美が、落語家になって、結婚して......。実は”ビーコ”もちょっとずつ成長していたんだなって、じわっと実感できるラストになっています。予想外の展開もまだまだありますので、楽しみにしていてください!
「みんなの心が集まっているこのときこそ、まさに”時機”」草々役・青木崇高
草々に共感する
草々はみんなから「今は常打ち小屋を建てるタイミングやない」といわれます。でも僕はこの「時機が悪い」というような言葉、あまり好きやないんです。これまで時代の先駆けとなったものには、時機を見計らわなかったからこそ成し遂げられたものが、たくさんあるじゃないですか。だから草々の「いつになったら、その”時機”が来んねん」といういらだちにはすごく共感しました。それに、常打ち小屋にみんなの心が集まっているこのときこそ、まさに、”時機”だと思うんです。きっとみんな「造りたい」という意識はあるんですよ。条件が厳しいから躊躇しているけど、「必要ない」と反対している人はひとりもいないんです。僕自身、このドラマに参加するにあたって初めて落語を聴きに行ったのは、繁盛亭でした。そこに行けば落語がある、という軸になる場所があるのは、大事ですよね。
落語から学んだこと
落語は本当に奥が深くて......。芝居の上でも、落語からたくさんのことを得ました。先日、ある師匠の高座を袖から勉強させていただいたんですが、ちょっとしたしぐさや声の出し方で、お客さんの心をグッとつかんでいらして。相手の心に訴えかけるには、ただ大きな声でアピールするだけじゃなく、ときには引き算も大事なんだと再認識しました。
今思えば、僕は最初”怒る”表現の引き出しが少なくて。草々がギャンギャンどなってばかりだったのは、表現者として「怒る」術を知らなかったらからなんです。今もできているとは言えませんが、それでも相手や状況によって、声を抑えたほうが強く伝わる場合や、「は~っ」とため息をつくだけで伝わる場合もある、その感覚を、少しずつ見極められるになってきた気がします。きっと頭で考えることなんて、心で感じることに比べたら小さいんですけど。役者である限り、常に努力し続けないかんと、心底思います。
塗箸のように
ホンマ僕はこの作品に育ててもらっていると思うんです。いろいろな人に出会い、教えてもらって......。脚本がすばらしいから、僕自身、もっと豊かな人間になりたい。でないと、その魅力を届けられませんから。そのためには、たとえ失敗しても、逃げずに芝居に向き合いたいなと。以前は失敗が怖かったですよ。こういうインタビューでも「俺の考えが正解とは限らないし、後で考えが変わってしまうかもしれないし」と思って、構えてましたもん(笑)今も怖くないわけやないですよ。余裕もない。でも「人生は塗箸と同じ」という正太郎さんのセリフどおり。この作品にもらった出会いや幸せ、失敗や後悔も塗り重ねていきたいと、そう思います。
こんな僕ですが、みなさんに「ちりとてちん」の世界を届けるために、一生懸命やらせていただきました。あと2週、楽しんでいただけたらうれしい......というよりも感謝します!
★青木さんは本当に誠実で純粋な方ですね★